投資教育
2018/02/28更新投資を学ぶには、学ぶこと全てに共通だが、学ぶ喜びと楽しさが必要である。金融庁は、「我が国の家計には「投資の成功体験」が広く共有されていない。」と述べて、投資教育における喜びの体験の重要性について、指摘している。成功というのは、必ずしも、投資成果が高いということではなく、むしろ、自分が意図したことと、実際の結果との差について、納得できることが成功ということの意味である。小さな体験を繰り返すなかで、意図と結果の差を縮めようとする努力がなされ、それが学習意欲につながる、そして、学習が継続できるのは、そこに喜びや楽しみがあるからに違いない。小さな実践の積み重ねから、お金についての生活規律が生まれ、生活のリスクに直結した投資のリスクが感得され、自律的な投資学習の習慣が生まれて、そこに、投資の楽しさや喜びを見いだしてくる。そういう状態になってはじめて、金融庁の施策としての投資教育、即ち、自主的な投資学習の支援策が有効に機能し始めると思われる。
個人金融資産が圧倒的に預貯金と保険に偏っている現実を是正して、投資信託等を通じた資本市場での運用へ振り向けるには、投資教育による基礎知識の普及が不可欠だといわれている。しかしながら、教育は、学ぶものの主体性を前提とした学習支援に徹する必要があり、国民の主体性抜きにはなりたたない。国民は、預貯金や保険から投資に向かう必要がないと考えているのであり、投資に必要性を認めれば、誰でも、投資を主体的に学ぼうとする。現在金融庁は、徹底した顧客の視点で、金融機関と金融庁の改革を強力に推進しているが、金融庁のいう投資教育とは、国民を主体と位置づけ、国民の視点でなされる適切な助言である。また、NISA等新しい政策により、本来の目的にそった量から質への転換が急速に進められており、従来の投資教育に替わる投資学習支援の取り組みが生まれている。
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